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いつ死ぬのか

ちょうど一年前の11月、このままだと、お前の寿命はとても一年ももつまい、と小生の腹を切り開いて、つぶさに内臓を観察した外科医は、小生に完全な黄色い銃(注1)を突きつけて、宣言した。

 それで、小生は自分の余命を半年と思い定めて、いちおう身辺整理らしいことをしたつもりである。しかし、予定の青葉若葉の季節を過ぎ、越すに越されぬと思っていた酷暑の季節さえ過ぎると、なんだか覚悟がゆるんできて、気の抜けたビールを飲んでいるような気持ちになる。こんな調子では、またいつものようにだらけた生活に戻ってしまうようで恐い。

 夏ごろはまだ、眠りにつく前は、明日は生きていないかもしれないと自分に言い聞かせ、朝目が覚めて空を見ると今日も一日が与えられた、ささやかながら楽しんで生きようと思った。しかし、この頃は、その日の充実より、いついつ紅葉をどこへ見に行こうとか、車を新しいプリウスに換えようかなとか、つまり明日のことを考えてしまう。もうじき死ぬのだと思う瞬間は、食事時の腹部不快感の時だけだ。

 それでも、ほんとうは内心は近々死ぬと思っている。主治医は余命半年くらいと言っても、たぶんそれは一年~一年半くらいのことだ。それに、だいたいそうなるケースが多いし。べつに何とかして寿命を延ばしたいという気概が湧いてこない。あと一カ月生きようと、20年生きようと、同じようなものだ。あとはいつものような喜びと苦痛を繰り返すにすぎない、と思ってしまう。どのように考えても残りの時間は決まっているのなら、こう思ったほうが気が楽ではあろう。

 もちろん、家族のことを考えると、もう少し生きて少しでも役に立ちたいとは思う。だからちょっとは薬を呑む。しかし、これはまったくの錯覚かもしれないとも思う。たぶん小生が居なくとも、それはそれなりに巧くやっていくだろうし、それどころか、小生が居ない方がうまくいくのかもしれないとも思う。まあ、すべては神のみぞ知る、であって、結局もう後のことはあれこれ考える必要はない。

 ところで小生の場合、きっと死ぬ直前までけっこう元気で居られるような気がする。それが嬉しい。うんと長生きしたところで、とても見苦しい体になって、おしっこチューブを入れられ、オムツをはかせられて、手足を振わせ、口からたわ言と泡を吹き、日夜、関節や臀部ジョクソウの痛みに苦しみ、そのうえ根性悪の介護員に痛めつけられるようになるだけだ。こんなことをしてまで国家予算を齧りつづけるのは、まっぴらごめんだ。そう思うと、ほんと小生は幸せである。

 考えてみると、小生ばかりではない、死はじつは誰にでも背後から迫っている。誰もそれが見えないだけだ。60歳を越えれば、体のどこかに血栓やガンが発生していてもおかしくはない。いや若い人だってそうであるし、明日交通事故に遭うかもしれない。しかし、だからと言って、そのことを心配してもしようがない。もちろん死というものを考えたい人は考えればいい。それも一つの面白いテーマではある。

 小生が人生でもっとも不思議に思うことは、人の死と誕生、とくに誕生だ。それに較べると、幽霊やUFOの出現なんてどうってことはない。赤子が母体からオギャーと生まれてくる瞬間ほど、小生にとって神秘的で驚嘆すべきことはない。人間の誕生は、この宇宙におけるまったく新しい花の創造であると感じる。なんでこの人の世は、こんなに色とりどりの、まるで永遠に回り続ける万華鏡のように、いろいろな人が生まれ続けるのか…まさに光彩陸離とはこの光景だ。


注1 完全に黄色い銃 = マッキガン(笑)


               

               
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テーマ : 思うこと - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Re: Wisest Quality of Life

未見太郎さん、こんにちは。

今日はとても空気が澄んで、太陽の光がまぶしいです。そして、我が家の梅も突然のように落葉し始めました。
ダイナミックな命の循環を感じ、この風の中にいると自分もその運動に巻き込まれているようで、心地よいです。

うたのすけさん、小康状態でなによりです。
ありがとうございます。まあ、こんなもんでしょう。欲を言えばキリがありません。たいして不自由がなく動けるのは幸せですね。

さて今日という日を満喫しましょう。

未見太郎さんの毎日お元気でお歌を歌っている姿を想像しつつ。

Wisest Quality of Life

うたのすけさん、小康状態でなによりです。

>小生はきっと死ぬまで元気で居られるような気がする・・・

あなたのこの精神の柔軟さ、強さは長年のご努力の賜物、良質の感性に支えられているようですね、うらやましいです。生きるヒントをいただきました。

私は45年前、母の死を目の当たりにして以来、ずーっと自分が息をして、心臓の拍動が止むことなく続いていることに、畏怖の感覚に駆られてどうしようなく不安になることがしばしばあります。
修業がたりませんね。

どうかうたのすけさんは、ゆるゆる生きてくださいね。

私はノロノロ、ヨロヨロと・・・・・。

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