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ローマ帝国とキリスト教

 以前から疑問に思ってことであるが、ローマ帝国はキリスト教化したから長く生き延びたのであるか、あるいはキリスト教を国教とした時点で、あのローマは滅んだのであるか。

 歴史にイフはないとはいえ、われわれが国家をどのように考えるか、その考えようによってさまざまな解釈ができる。だからこそ歴史があると言える。歴史とはわれわれの思いである。歴史学がどんなに精緻を極めようとわれわれの思いから抜け出ることはできない。

 あの時代、たとえば皇帝ネロの時代に、かくも強烈な弾圧を受けながらも、なぜ多くの民衆はキリスト教信仰に向かったのであろうか。それは人々が信仰を生きるために必要としたとしか考えられない。
 いつの時代にも、新興宗教は秩序を破壊する恐れのあるものだとして、とくに体制側の人々には恐れられた。
 紀元64年のローマの大火災について「都ローマの火災の犯人はネロであると民衆は信じて疑わなかった。そこでネロはこのうわさをもみ消そうとして身代わりになるよう犯人をでっち上げた。・・・その犯人とは、日頃から忌まわしい行為で世の人から憎まれていたキリスト教徒と呼ばれる者たちである。・・・
 キリスト教徒は放火罪というよりかはむしろ人類敵視の罪として処罰された。彼らはなぶりものにされた。野獣の毛皮を被され、犬にかみ裂かれるといったように・・・。」 タキトゥス『年代記』109年

 パックスロマーナすなわち〈パンとサーカス〉に熱中していた一般民衆からキリスト教徒は体制破壊者の罪人として迫害されていた。そしてネロがサーカスにおいてキリスト者をいたぶるのはちょっと行き過ぎであると感じていた人がいた。

 このようなキリスト教徒迫害は、その後200年くらいは続いたらしい。トラヤヌス帝(98~117)の文書では、キリスト教徒はローマの神々に祈りを捧げず、皇帝をも崇めない者たちということで処刑した。しかし、キリスト教信仰を捨てたという者たちは許した。しかし、明らかに悪事を犯していないキリスト教徒を罰するのはいかが、と考える高官もいた。

 とにかくキリスト教信者は増え、ついにコンスタンティヌス帝がキリスト教を公認したのは313年。当時進軍中の皇帝の目に、天高く光り輝く十字架を見て勝利を確信したという逸話が残っている。そして信仰の自由を保障した。
 そして、テオドシウス帝はキリスト教(ローマカトリック)を国教化し、ギリシャ・ローマの多神教を禁止する(395年)。

 しかし、従来の多神教勢力がそれでなくなったわけでもない。西ゴートによるローマ市略奪(410年)において、マルケリウスという人はアウグスティヌスへの手紙の中で、キリスト教の「右の頬を叩かれたら左の頬を出せ」とか「奪いにくる者にはさらにマントを与えよ」とかいう教えは国家を指導するには不適である、と訴えている。
 その論に対して、アウグスティヌスは書く、キリスト教のおかげで、神聖な場所では残酷な蛮族も戦争の習慣に反してあえて殺傷を控えた。ローマ人は、キリスト教の時代であることを神に感謝すべきである云々、と。

 それにしても、日本とは全く異なるヨーロッパの歴史の端緒がこのローマの時代にうかがわれる。そしてキリスト教を取り入れた、というかキリスト教に侵略されたというか、とにかくあの栄光のローマ帝国はいつまでをもってローマ帝国と言うのか、その宗教的伝統を引き継いだのはビザンツなのか、メロヴィング朝なのか。宗教と国家の力学的関係。人間という生き物が宗教や伝統を重んずること、および国家という最高権力によって守られなければならないということ。
 今なおヨーロッパはローマ帝国を引き継いでいるとも考えられる。

 (今日の西洋史の勉強をはり)
 


  

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テーマ : 歴史 - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

菱海孫さま。

ご訪問ありがとうございます。
菱海孫様のコメントは本質をついたのものだと感心しました。今後そちらにも訪問させていただきます。

ありがとうございました

うたのすけ様。初めまして、菱海孫と申します。先日は「ねずきちのひとりごと」のコメント欄で共感の意を示して頂き、ありがとうございました。私の浮いたコメントには冷淡な反応しかないであろうと、半ばあきらめておりましたので、うたのすけ様のコメントは大変に嬉しく感じました。

また、いくつかの記事を興味深く拝読させて頂き、うたのすけ様の広範な知識に感心しました。我国の伝統的な事柄のみならず、ローマ帝国やキリスト教につきましても、貴ブログには学ばせて頂くことが多いように思いました。今後とも宜しくお見知り置き下さい。

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