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常夏

今年の夏は長いですね。今日の午後、まだツクツクボーシの声が聞こえました。9月というのに。

夜には快い虫の音が聞こえてきますが、まだ熱帯夜。常夏という言葉が浮かんできます。「常夏」とは『源氏物語』の巻名でもありますね。昔も今も夏の暑さに耐える工夫は同じようです。
 
 「いと暑き日、ひんがしの釣殿に出でたまひて、(源氏は)涼みたまふ」。そして親しい若者たちもそこへやってくる。
 源氏「退屈で眠たいところだ。ちょうどいいところへ来てくれたものだ」と仰って、お酒を出し、氷水をもって来させ、水飯などを皆でにぎやかに食せられる。

 この時代もやっぱり氷と冷やご飯ですね。そういえば、このごろ讃岐うどんのチェーン店が全国展開していますね。安くてうまいので、うどんファンが増えたのではないでしょうか。小生は昔から根っからのうどん好きで、昼食はたいていうどんです。しかし、冷うどんは食べません。年中ほぼ「かま揚げ」です。(ざるそばは食べます)でもまあ、昔のようにクーラーがない時代であれば、冷やを食べるかも。

 続いて、風は、いとよく吹けども、日のどかに、曇りなき空の、西日になるほど、蝉の声なども、いと苦しげに聞こゆれば、源氏「水の上にいても暑い今日は。ちょっと見苦しいがお許しあれ」と言って横になる。「それにしても暑い。制服を着て宮仕えしている人たちは耐え難かろう。ここでは、君たち、楽にしてくれたまえ。この暑さと眠気を忘れさせるような面白い話を聞かせてくれたまえ。」って言っておきながら、源氏自ら話題をー内大臣の隠し子の話をし始める。

若者たちの中には、内大臣の子どもがいるから、そこから情報を得たいという心づもりもあったのだろうし、源氏自身の養女(玉鬘)に言及し、さらに、できうれば、玉鬘を若者たちにちらっと見せて、その美しさでもって驚かせてやりたい気持ちもあったのでしょう。

 この玉鬘は夕顔と内大臣(時の頭中将)との忘れ形見であり、長谷寺の観音様のお導きにより、玉鬘一家は源氏と再会することができたのですね。このとき源氏が詠んだ和歌から「玉鬘」という名は由来しています。

恋ひわたる身はそれなれど玉かづらいかなるすぢを尋ね来つらむ

(亡き夕顔の面影を追っている自分ではあるけれど、いったいこの娘はどのような因縁で自分のところにきたのだろうか)

ちなみに玉鬘の母である夕顔は夏の女であり、「常夏」とは「なでしこ」の古名です。

夕方、風がやや涼しくなって、源氏は玉鬘のいる西の対へ行く。そこで、和琴を教えると言って近寄る。玉鬘は、源氏の子(養女)として養われているが、源氏の実子ではなく、内大臣の子であることを知っている。源氏も玉鬘の素晴らしさの前では男心を我慢できない。しかし、さすがに表向き自分の子としている娘に手をつけるのは世間体が悪い。何度もこの葛藤に悩まされ続けるんですね。それで、髪を撫でたり手を握ったりして、玉鬘は「助平で、いやなおじさん」って、ずっと思い悩んできた。

このあたりを読んでいると、もうまだるっこしい。源氏も読者も心臓が高鳴り脂汗があふれ出る。こちらは早くやっちまえ、と思ってしまう。若い時の源氏なら後先を考えず行くでしょうね。しかし、このとき源氏ももう36歳。(玉鬘22歳)そうなったら、自分の不面目もさることながら、玉鬘が可哀そうだと考える。

というのは、そうなったら源氏の今までの妻妾たちの中に入ることになるが、身分からして末席を占めるにすぎなくなる。いくら源氏の身分が高く愛が大きいからと言って、それで幸せになることはない。むしろ、身分は低い人でも、この人一人だけと愛される方が幸せだろう、と考えます。源氏は離れているときは冷静に考えられるのですが、玉鬘を見ると、はやり衝動を抑えることが難しい。

それで、こんなことを思いつくのです。玉鬘をこの屋敷に置いておいて婿を取る。夫をもてば男女の情が解るようになる。それからなら、いかな人目繁くとも、慣れたもの、そっと忍んでぐっと迫れば容易に許すであろうと。

作者の式部も、「けしからぬことなりや」と呆れています。
源氏の企みと脂汗でいっそう暑くなる話でした。


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テーマ : 文明・文化&思想 - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

No title

coffeeさん、本当に今年の暑さの持続はむずらしいですね。我が国の政界も、なんか袋小路に向かって進んでいるようですね。

Gruess Gott !

ヘルブラウさん。こんにちは。
貴女はいつもお元気そうですね。力の波動を感じます。

小生、不覚にも風邪をひいてしまいました。暑さと妄想のためかもしれません。

今日は久しぶりに雨降りで、やや暑さが和らぎましたが、この湿度にまいります。ドイツは爽やかでいいですねぇ。

30年も付き合っていて、結婚とは? 夢を持たせる話だね、なんて言ったら、奥方が・・・  それにしても誰だろう、調べてみよう。

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暑い

本当に暑いです。
今月いっぱい異常な暑さが続くそうです。
ランクリ

Guten Abend!

Lieber Herr うたのすけ、

まだまだ日本は眠れぬ暑い日が続いておりますようで、
こちらの日の最高気温が18℃という肌寒さは夢のようでござりますなぁ~・・・
あぁ~源氏の君はいい時代を生きられました、女性を手とり足とり、矯正したり、
男性の目からも憧れの君ではございませんこと・・・
今日のこちらの新聞で30年来のパートナーと晴れて結婚した
有名指揮者(確か67歳)のことが書いてあり、お相手も男性で幸せそうでした。
源氏の君にはそちらの方へのご興味はございませんでしたのでしょうか・・・?

Viele Gruesse、

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