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飛騨一之宮

臥龍桜を見に行ったのは、じつはついでであって、本命は、この飛騨一之宮こと水無(みなし)神社であった。

 この神社は、臥龍桜公園のある飛騨一之宮駅から歩いて数分のところにあった。想像していたより大きな神社であり、何よりも村落のなかの平地にあり、しかも駅から近すぎる、と感じた。というのは、小生はこの神社はかなり訪れるのに困難な山の中にあると思い込んでいたからである。

  水無神社

 その思い込みは二つの事が原因であり、またその二つの事が、また小生がこの神社に興味をいだいたきっかけでもあった。

 一つは、島崎藤村の『夜明け前』。この作品は、藤村の父正樹の物語である。正樹は、中山道の宿駅である馬籠の庄屋に育ち、この地で幕末の動乱と明治維新を生きた。彼は宣長・篤胤の国学・神学に傾倒し、維新のスローガン〈王政復古〉を信じ、政治に参画しようとするのだが、新政府の名ばかりの復古、じつはすなわち近代化によって夢を次々に壊されていった。そうして彼はついに精神の異常をきたし、先祖からの菩提寺に火を掛け、家人によって座敷牢に幽閉される、という悲しいお話。明治七年、その正樹が四十歳のころ、中央の教部省の体たらくに嫌気がさして辞職した後、田中不二麿の斡旋で三年ばかりこの水無神社の宮司を務めたのである。

小生は、この小説における飛騨山中にあるこの神社への道の描写から、この神社はずいぶんと山奥にあるという印象をもっていたのであった。

ついでに、この小説名「夜明け前」は、日本の夜明けがまだ来ていない、つまりこの主人公の理想に沿って言えば、明治人の突き進んだ近代は、健全な国民性を古の道によって得ることが、まだできていないという意味に解した。

もう一つの事は、昭和二十年九月、占領軍が日本本土に上陸してきたとき、皇室が解体され、天皇の正統性の根拠となっている三種の神器が奪われるという怖れから、その一つ草薙剣を、それが祀られている熱田神宮から、どこかに隠さねばならない。しかし、そこいらの家にはおろか銀行の金庫などにも隠しておくことはできない。なにせ日本の宝ベスト3に入るものであり、ヤマタノオロチ由来の神剣である。結局、〈神のモノは神へ〉ってことで、この水無神社に疎開していただくということになったらしい。

それゆえ、この神社はいくら社格が高くあるいは朝廷の崇敬篤いとはいっても、かなり山中深いところに在るのだろうと思っていたのである。

ところが、ここはあまりに開けている。前の道はおそらく大昔からの街道であろうと思われる。そして、江戸時代には、そのあたりの農民たちが圧政に対して立ちあがり、この神社で決起集会を行った、と看板に書いてある(安永二年、大原騒動)。つまり昔から有名な神社なのだ。やはり飛騨一宮なのだ。

しかし、境内に向かうと、曇っているせいか、何となく寂しい感じがする。さっきの臥龍桜公園の見物人のにぎやかさに比べてしまうのか、ここでは2・3人しか見当たらない。あの公園とは歩いて数分しか離れていないのに、どうしてついでにこの神社には来ないのだろう、と不思議に思われた。

この神社の御祭神は、この地のすぐ南に位置する位山に鎮座せられていた水無神という。位山は表裏日本の分水嶺である。どうして水無と書くのか知らないけれど、みなしとは水主(みぬし)が水無となったのであろうことは想像できる。また農耕の神と言われる御歳大神(みとしのおおかみ)を主祭神として16柱の神々の総称が水無神とも。

神殿を囲む大木の上にガアガアと鳥の鳴き声が聞こえた。見るとてっぺんに鶴のような鳥が二匹、追いつ追われつしているように飛び回っている。

    水無神社3


こんなところに鶴が…これは瑞だと喜んだ。しかし、いまどき鶴がいるものかなという疑問が続き、明くる日、神社に電話して確かめてみたら、「あれは鷺ですよ」と。へぇー鷺ってあんなに高いところに居るのかなと驚いた。そして付け加えて言うには「あれには困ってるんです。糞害が大きいのです。」と憤慨していた
 (汗


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