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『枕草子』1

「春はあけぼのやうやう白くなりゆく山ぎは・・・」くらいしか知らなかった小生。以前から一度きちっと読んでみたいと思っていた。わりに簡単に読めるだろうと高をくくっていたら、なんのなんのとても難しい。現代語訳を読んでみてもよく解らないところすらけっこうある。

 読み進めていくうちに、清少納言っていう人がどんな人か判ってくる。宮仕えってものがどんなことか、宮廷で働く様々な人たちのありさまが、新鮮な目で、あたかもカメラマンによる様々な場面のスナップショットのように、撮られている。

 「心ときめきするもの」(29)なんか現代のテレビのコマーシャルみたい。映像が次々に出てくる。

 「心ときめきするもの。雀の子。

幼児の遊んでいるところを横切るとき。

舶来の鏡のちょっと曇っているのを見るとき。

よい男が高級車を止めて友に頼みごとをしていることろ。

上等の薫香をたいて一人で横になっているとき。

洗髪し化粧して香水をふりかけおしゃれするとき。

そんなときは一人で居るだけでも心は充実している。

男を待っている夜、窓をたたく雨や風の音にハッとするとき。」

続いて〈資生堂〉なんて文字が出て来そう。

 官庁で働く人はいろいろな人がいる。トイレ掃除おばさん。車の運転手はこんな顔の人がよく似合うとか。休日に急な出勤を命じられた人たちが時間外手当をもらう話。人事異動の時期に落ち着かない蔵人の出世競争の話。知的な会話が出来ない男は馬鹿にしてやるさ。六位風情で自宅を持って満足している男はいやだわ。夏の夕暮れ6Lのベンツで飛ばしていくどこかの御曹司は素敵。・・・

 「をかし」の文学と言われるように、俗悪な人や態度なども、けっこう何でも「いとをかし」となる。紫式部は清少納言のこういう態度をを手厳しく批判し、何でもかんでも感動しているようでは結局軽薄であって早くボケるよ、とけなしている。(『紫式部日記』)

 また、『枕草子』には、作者がいかに知的教養があったか、そしてその教養を彼女自身敬慕してやまない中宮定子と共有していた点が、他の人たちといかに違っていたかを、しばしば露骨に表している。こういう性格のゆえ後世彼女は嫌われる。当時も嫌われていたかもしれない。

 紫式部は、清少の知的教養なんて大したことないよと、露骨に切り捨てる。式部は日本紀の御局と呼ばれたくらいの教養人だったからばかりではない。前後した時代に宮仕えをし、同じような身分であり(通いの女房)、同じようにその教養でもって、サロンでは中宮に目を掛けられたいた、とはいえ、手放しで宮仕えを賛美する清少を宮廷生活に心から同化できなかった式部の目には浮薄に映ったであろうことはよく解る。

『枕草子』を読んでいると、教養があって才気に富んだ田舎者の少女が、宮仕えをして、いろいろなことに感動した、そのなんと生一本なこと、永遠の少女、と小生は感じる。今から見るとそんなに目くじらを立てて蔑むことはないじゃないかと思う。

 紫と清との二人を並べて論じ得ても、よくなされるように『枕草子』と『源氏物語』を比較することはできない。『枕草子』は、覚書、宮仕え報告書、よく言ってエッセイであって、あの罪の問題を追求した高度な小説『源氏物語』はまったく別ジャンルであり、〈作品〉の比較なんてことはどうかなぁ。

 まあしかし、人の姿の、特に服装の色合いに対する鋭敏な感覚というか、何枚も着る装束の様々な色の組み合わせ、そのコーティネートの執拗な描写などは、小生から見ると、さすが両者とも王朝時代の女性という点で同じだなと感じる、式部は嫌がるかもしれないけれど。・・・



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テーマ : 日本文化 - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

No title

umama01さん。うんと先はどうなっているか判らんものですねー。

1000年後も読まれているとは、ましてや自分のこっそり(?)書いたものが、受験作品になるなんて、彼女たち知ったらわっと顔隠すでしょうね。

No title

しかし、彼女たち二人も、千年以上の時を超えて、自らの著作物が日ノ本の国全てにさらし者にされるとは思ってなかったでしょうね~~。
だから、平気で文章内で喧嘩して……
もし天国というものがあるのなら、今頃のたうちまわっているような。。。

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