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『紫式部日記』1

長保元年(999年)紫式部27歳。20歳年上の藤原宣孝(のぶたか)と結婚し、一子をもうけるが、二年後に宣孝死去。

長保五年(1003年)時の最高権力者藤原道長に娘(中宮彰子)の出仕を懇望される。

 寛弘二年(1005年)彰子中宮のもとに出仕。

 『紫式部日記』は、出産のため土御門邸に里下りしていた中宮を取り巻く様子から始まっています。じつにたくさんの人々が、ひしめき合い、立ったり座ったり、大声で泣いたり笑ったりする様子が、事細かに描かれています。

 めでたく若宮を御出産。うんざりするほどの様々な儀式。真面目にきちんと仕事をしている紫式部、あるときふと漏らします・・・

 〈いい歳をして、いったい自分は何をやっているのだろう。どうしてこうも気分が晴れないのだろう。他の女房たちのように楽しく振る舞うことができればいいんだが・・・。だが悩んでばかりいるのも罪深いことだ・・・。結局ついついぼんやりと景色を眺めてしまう。・・・池に遊ぶ水鳥。・・・彼らも本当に楽しんでいるのだろうか・・・〉

 そうこうするうちに若宮は順調に御成長なさる。『源氏物語』を書き始めていることは、もう皆に知られている。自分のことを紫の上と呼ぶ人さえいる。

 雪の降る日、休暇をとって里(実家)帰りした紫式部。

 〈年頃見慣れた古里の庭木を見れば、また憂鬱になる。夫の死後、ただ、ぼーと庭を見て過ごしていた。草木や月の変化、そして鳥の声で時の移り変わりがやっと判った日々だった。これから先の我が身はどうなることか・・・。気心の合う友人と物語の話をしたりしてなんとか心を慰めてきたけれど、宮仕えを始めてから、わが身が恥ずかしい、辛いと思うばかりになってしまった。憂さを忘れようと物語を手にとってみても面白くない。・・・忙しい宮仕えに慣れてしまった自分を友人たちはきっと軽蔑していよう、手紙を出すのも躊躇しよう。ここに居ると悲しさがつのってくる。〉

 中宮さまから出仕の催促の御手紙が来ます。

 五節(大嘗祭の少女舞)が始まる。清少納言なら、手放しで楽しんで見物したでしょう。しかし、紫式部は楽しめません。

 〈あの舞姫たち。名門のお嬢さんたち。殿上人たちが居並ぶ前を、いっぱいの灯りに照らされて、よくもまあ、扇で顔を隠さず平気で入場してくることよ。みなに美しさを競いあわされる彼女らのなんと不憫なことよ。一人の少女は気分が悪いといって退出する。どんなにか彼女たちは緊張し苦しい思いをしていることだろう。見ている人たちの何と無神経なこと。少女らはそれぞれたしかに美しい。見たくないけれど見てしまう、わが身のなんと浅はかなこと。だんだんと宮ズレしてゆく自分が恐ろしい。〉

 あの賑やかな賀茂祭も終わり、また師走がやって来ました。思えば勤務を始めてはや三年。自分もここの風紀に染まりつつあるのだ、ああ。

 〈中宮さまは御物忌で籠っておいでだ。夜横になっていると、いっしょに居る女房たちは浮き浮きしてしゃべっている、「宮中はやっぱり違うわねぇ!里に居れば、今頃はしんと寝静まっているはずよ。ここではまだまだ殿方の靴音が頻繁なんですもの!」
 ああ、いあやだ、こんなおしゃべり聞きながら歳をとっていくの・・。〉

 一刻でも早く他の女房のようになりたいと露骨に焦っていた清少納言とはあまりに違いますね。

 ついでに、紫は周りの人たちの容姿をスケッチしています。

 〈Aさんはね、ふっくらとして、口元が上品で、理知的な顔立ちをしています。穏やかで、かわいらしくて、素直です。
  Bさんはね、優雅で奥ゆかしく、恥ずかしがりやで、線の細い柳のようです。
  Cさんはね、色が白く、ちょっと背が高くてすらっとして、黒髪も立派です。穏やかで、よく気が付く人です。
  Dさんはね、色白で太っています。ほほ笑むととても愛嬌があります。
  Eさんはね、・・・Fさんはね、・・・
 まあ、いろいろ言いましたが、心立てはと言うと、これは難しいね。それぞれ個性があって、全く駄目だという人はいませんが、気品・思慮・情緒・信頼・・・など何もかも揃っている人はいないものです。こんなことを語る私はけしからんですね。チャンチャン〉





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コメント

No title

umama01さんは、社会にreactする自分をたえず見ている自分があるのですね。言いかえれば、たえず逃れる自分があるということだと思います。小生もそうかもしれません・・・。いっときoutsiderという言葉が流行りましたが、いかなる誘因かはともかく紫がoutsiderのはしりだと考えると面白いですね。こんにち〈ひきこもり〉なんてよく耳にする言葉ですが、この均質化してしまう世において、小生の願いは、積極的に、そして露骨にひきこもりたいということです。「ひきこもり諸君よ、もっと自信を持ってひきこもれ!」と言いたいですね。

No title

私は清少納言よりはこっち寄りの人間ですわ。。。
周囲に馴染もうとするよりも、周囲に流される自分を冷めた目で見てしまう。

……千年経っても、人間は進歩してないということでしょうか?

しかし、戦国時代で平均寿命が50歳と言われてましたから、平安はもっと早くてもおかしくなくて。
そんな年に20歳で47歳と結婚する紫式部。
……それだけでどんな人生の、どんな苦労があったのだろうと考えてしまいます。

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