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大正天皇御製詩1

歴代天皇のなかで大正天皇の断トツのものといえば御製詩の数である。

 二位が嵯峨天皇と後光明天皇の98首。ついで後水尾36、霊元25、一条23、村上天皇18、淳和16。あと22人の天皇が6首以下。

 では大正天皇は何首作られたかと言うと、1367首。これを断トツと言わずして何と言おう。

 大正天皇は自ら、漢詩はいいが和歌は苦手だ、というようなことを仰ったらしいが、御謙遜を、小生は大正天皇の和歌は好きだ。

 なんで、こんなにたくさんの漢詩を作られたのか、という疑問は野暮で、つまりお好きであられたからだ。そして、何よりも、東宮職御用掛となった三島中洲の手ほどきがよかったからだ。

 ときに皇太子(大正天皇)18歳。三島中洲67歳。お二人のコンビの良さは、御製詩にも散見されて、「じつに天の配剤の妙趣を感ぜしめる」と石川忠久氏は書いておられる。

 漢詩については、残念かな、小生はよく知らない。むかし学校で習った有名な漢詩の幾つかの快いリズムやイメージが断片的に残っているだけ、…、春眠あかつきをおぼえず、とか、西の方陽関を出れば古人なからん、とか、少年老い易く学成り難しチトウ春草の夢、青山ほっかくに横たわり白水東城をめぐる、カカン一個の酒われ歌えば月なんとかし、疑うらくはこれ地上の霜かと、国破れて山河あり、・・・

 思い出せば、いろいろイモヅル的に結構出てくるものだ。考えてみれば、わが日本の物語にはすでに漢籍が多々引用されていて、長い間に自然にわれわれの言葉の中に溶け込んでいるのであろう。

 漢詩についてよく知らないとはいえ、大正天皇について言及しようとするならば、これほど多量の漢詩をお作りになったからには、きっとここに天皇の御心が顕れているにちがいない、それをとにかく読まずして大正天皇について何をか言わんや。

 ということで西川泰彦編『天地十分春風吹き満つ』と石川忠久著『漢詩人大正天皇』を読んだ。これらを併せても300首に満たないけれど、先生方の解説がなければ小生は読めないから、まあいいだろう。

 口ずさみつつ拝読していくと、いろいろなジャンルの音楽を聴いているようで、気持ちがいい。漢詩として優れているかどうかぜんぜん判らないけれど、いいなと思うのを、まずは一首紹介。

 「春夜聞雨」春夜雨を聞く

春城瀟瀟雨  春城瀟瀟の雨
半夜獨自聞  半夜独り自ら聞く
料得花多發  はかり得たり花多く発き
明日晴色分  明日晴色分るるを
農夫応尤喜  農夫まさに尤も喜ぶべし
夢入南畝雲  夢は入る南畝の雲
麦緑菜黄上  麦は緑なり菜黄の上
蝴蝶随風粉  蝴蝶風に随ひて粉たり

西川氏の意訳の変奏。 春の夜更けに一人しんしんと降る雨を聞いている。この雨で明日はきっと晴れるであろう。そして農夫はきっと喜んでいるであろうと思うと、夢は日当たりのよい南の畑の上に行く。そこは、緑の麦、黄色い菜の花が辺り一面にあって、蝶が風のまにまに舞っている。

大正三年の御製詩。この年、シーメンス事件(三井物産と海軍首脳との贈収賄事件)が起こり、ねじれ国会の末、山本内閣辞職。第一次世界大戦参戦。

                        

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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

No title

umama01さん。仰るように、詩の命はその音楽性にありますから、原詩を味わうためにはそれがつくられた国語が体に入っていなければなりませんね。よく言われるように詩の翻訳は不可能というか、まあ別のものを創作しているということになりますね。ですが、その雰囲気を見事に表しているという翻訳もありますね。例えば、上田敏の「秋の日のヴィオロンの・・」とか、鈴木信太郎の「都に雨の降るごとく・・・」などは、原詩の音楽性に迫るように思います。
おっと、漢詩でしたね。我が日本人ははじめから漢語を二重に使っていたというところが何とも面白いですね。
憶ラのような秀才は当時の中国読みがすらすらできたでしょうが、大抵の日本人は日本語的に(読み下し文)として口ずさんでいたのだと思います。返り点などの発明もかなり早い時期になされたのでは。
だから、漢詩の訓読的受容の歴史は長く、われわれの血肉となっています。ところが、漢詩に必須の脚韻は、われわれは文字の音読ですぐそれと認めることができますね。この事実は面白く、われわれの言語は、文字使用以後は、完全にハイブリッドですね。

No title

漢詩ばかりは日本語に訳しても良さは分からないと授業中に何度も何度も思ったものです。
アレは漢語の発音で音韻を踏まないとダメだと。。。
春眠不覺曉
處處聞啼鳥
夜来風雨聲
花落知多少
ちゅんみんぷーちぃちゃお
ちゅんちゅんうぇちぃにゃお
いぇーらいふぇんゆーしぇん
ふぁーるぉつぃーつぉーしゃお
……音は昔の記憶で非常に適当ですが、こんな感じで向こう側の音韻が混じってこそだと思ってます。。。
勿論、個人的な見解であり、読み下しの漢詩にも趣があることは否定しません。
そういう意味では、漢字を共有しているって実に面白い交流だと思うんですよ。。。
ま、向こうでは鮪はチョウザメって意味らしく、色々と歪んでいるのも事実ですけれども。。。

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