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継体紀 3

 前にも述べたように、『日本書紀』は、「男大迹天皇(ヲホドのスメラミコト)は応神天皇の五世の孫、彦主人(ひこうし)の子なり。」で始まっているのは特異である。『古事記』でも、申し合わせたように、「応神天皇の五世の孫、ヲホドの命、いはれの玉穂宮に坐しまして、天下治めたまひき。」で始まっている。

 もう一つ、『書紀』で、変わっている点は、継体天皇が崩御したのは82歳で、西暦531年、そしてその直前に、安閑天皇に譲位したとなっているが、べつに安閑天皇の即位はその二年後となっていて、つじつまが合わない、また継体崩御43歳とある『古事記』とはあまりにも異なるという点で、多くの歴史学者の好奇を引き、さまざまな説が生まれている。

 大伴金村大連らが、大和から福井県の三国まで寒い初春のさなか、皇族男子とはいってもえらく遠い血筋のヲホドノさんを見付けだし、次期天皇に擁立しようとしたのは、じつに御苦労さん。雄略天皇の大殺戮のおかげで後の人は本当に大迷惑をこうむりましたな。

 ヲホドノさんは、とても落ち着いて謙譲にして慎重、品性もよろしかったように書かれているのは、前代の悪逆非道な武烈とは正反対よ、とのアピールか。しかし、そうすんなりとは天皇にはなれなかったようだし、即位してからも河内・山城あたりで遷都を繰り返し、ようやく大和入りしたのは20年後(78歳!)であることを考えると、オホドノ擁立派が、大和を取り巻く主要な諸豪族を説得するのがいかに困難だったかを想像させる。

 その間の事情は白崎昭一郎氏の指摘する次のことからも読み取れる。『古事記』武烈の条では、「武烈天皇崩御されて、日嗣の皇子がなかったので、応神天皇の五世の孫、ヲホドノ命を近江より上りめさしめて、手白髪命(たしからのみこと)に合わせて、天下を授け奉りき」とある。これはよく読んでみると不思議である。つまりこの文の主語は誰か? そしてまた手白髪命は仁顕天皇の娘さんである。つまり、この確かな皇女を皇后にするという条件でヲホドノさんを天皇にしてあげた、と読める。つまりヲホドノさんは、無条件で天皇になるためには皇族として血が薄すぎるということとも読める。

 他方こういうことも言われている。不思議な〈五世の孫〉の記載は、皇族の血を引いていることをでっち上げたための出鱈目ではない。この空白を埋める系図が存在する。それは『釈紀』(鎌倉期)の中にある『上宮記逸文』にはっきりと書かれている。この『上宮記』は聖徳太子あるいはその近辺の人が書いた、遅くとも推古朝までには書かれたものであるらしい。これはほぼすべての学者が認めているところであって、宣長も、『上宮記』の書きぶりはいたく古文のさまなり、この部分が引用され残っていたおかげで継体の出自がはっきり分かると大喜びである。

 継体天皇の時代、部下の不手際により、任那の6県が百済に割譲してしまい、また九州の豪族が新羅とつるんで朝廷軍をなやましたりして(磐井の乱)、政治的には安定した時期ではなかった。

 継体紀の継体崩御の年号のつじつまが合わぬことと、或る本(ふみ)に百済本記ではこう書いてあると余計なことが書かれているのは、―昔からそうだが―、親新羅派と親百済派との、次期天皇擁立に絡んで、闘争が続いていたことを示唆する。或る先生の説では、継体崩御後しばらく安閑天皇・宣化天皇(母は尾張系)と欽明天皇(母は手白髪命)との両朝併立があったとも。

 継体崩御後の二年間の空白は、宣長のような人によると、践祚を譲りあって決まらなかったのではという。まあそうであったにせよ、やはりその背後には諸派の力の均衡があったのではと小生は想像する。


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テーマ : 歴史 - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

No title

Kontaさん。なぜ日本に、力のない天皇が存在するか、これはたとえば、卑弥呼という女性を権威にし、各豪族が直接戦わないようにした、日本人らしい知恵の続きではないか、とも考えてしまします。なにせ、日本人は戦いを避けたがる、でしょう。今度の安倍総理、しっかり外国勢力と闘ってくれるだろうか・・・心もとないですね。
継体天皇の即位を考えると、やはり男子天皇を重視していますね。しかし、同時に、皇室と平民とはしっかり分けていますね。すると、これでいくとやはり、男系派と女系容認派との妥協点は、女性宮家+旧皇族男性との結婚となるのではないでしょうか。

No title

今も皇室の継続を心配する声が出ていますが、昔も結構大変だったようですね。
女系天皇の容認はどうなんでしょうか?イギリスは完全に男女を問わず第一子にしましたし、日本も昔は少しはいましたからね。例の日本人お得意の議論先送りで、話が止まってますが。

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