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貞明皇后御歌19

1923年(大正13年)1月26日、宮中某重大事件もすっかり落着し、摂政宮(裕仁皇太子)と久邇宮良子(くにのみやながこ)女王とはめでたく御成婚の儀と相成りました。

     桃花契千年
 もろともに千代を契りてさかえなむ
   春のみ山の桃のふたもと


 天皇の御容態がだんだん悪くなるなか、皇太子の責任の重さを誰よりも深くかみしめていたのは、節子皇后ではないでしょうか。それかあらぬか、この年は、筧博士の神道講義に触発されたごとき歌が目につきます。

    新年言忘 御会始
 あら玉の年のはじめにちかふかな
   神ながらなる道をふまむと


     以歌護世
 皇神の道のまことをうたひあげて
   栄ゆく御代をいよよ守らむ


     読史
 皇孫に天降りまさねとのらしけむ
   大みことばのたふとくおもほゆ


 もちろん、嘘はないはずですが、あまり面白くないですね、こういう御歌は。それよりやはり次のような御歌がいいですね。

     わか草ところどころ
 立ちまよふ霞ふきとく春風に
   むるむらみゆる野べのわかくさ


     春風
 よのさまもうち忘れつつ草つむと
   ほてりし顔に春風ぞふく


     琴
 少女子(おとめご)の弾く手妙なる琴の音に
   松の風さへ吹き止みにけり


     深夜春雨
 ねざめして嬉しとぞきくもえいでむ
   小草そだつる春雨のおと


     苔上落花
 きはやかに色あらためし苔生には
   ちりくる花もここちよげなり


 さむくふく夕べの風に菊つくる
   人のしはぶく声のきこえる


   ときにはこのようなことも 秋夜思親
 秋の夜の長きゆめ路にあひみむと
   恋ふる心をしりますか父


 思い返せば、明治32年、自分も周囲も婚儀の準備にたいへん忙しい中、父道孝は16歳の節子姫を世俗の見納めにと、とある料亭に連れて行ってくれた。そのとき、座敷に一人の美しい芸者が呼ばれ、三味線を奏でた。そっと目を閉じた道孝は、その音楽に合わせて口ずさむ、「梅にも春の色そえて、若水くみか車井の、声もせわしき鳥追いや…」部屋にはひたひたと妖艶な雰囲気が広がっていった。

 節子姫にとって、これは思いがけない出来事であり、この時の父の心づくし、恩愛を一生忘れることがなかった。御結婚後、宮中生活においても、ときにこの父の歌った端歌が頭から去らず、ふと口にお出になることがあったという。




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