スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

17条憲法2

 梅原氏の考えをざっと書くとこうなる。冠位十二階においては、上から順に、徳・仁・礼・信・義・智となっている。中国の『隋書』倭人伝には、「倭(日本)には、内官に十二等あり、大徳から始まって、大・小の仁・義・礼・智・信がある」と、書かれている。しかし聖徳太子は、順番を徳・仁・礼・信・義・智と決めたはずではないか。おそらくこの誤り!は、当時の中国では、儒教の仁・義・礼・智・信という順番が当然であると皆が思っていて、まだ非文明国の日本人はアホな奴らだ!きっと誤って使ったのだろう、直しておいてやるわ、とわざわざ書きなおしたに違いないのだ。

 余計なお世話とはこのことだな。しかし実際は、漢籍に精通した太子が間違うはずはない、そのうえ仏教にも打ち込む太子が考えた末に順番を変えたのである。彼の深い志が解らぬお前らの方がアホなのだ。もっとも、道教の文献の中には太子流の順番もあるとのことだがね。

 出典の思想にあまりとらわれずに、第一条から第十七条までざっと見ると、まず第一条は、何事を決めるのにも、仲良く話し合え、自分の論を絶対正しいいと思い込んで、相手を攻撃することなかれ。まあ、とにかく態度を和らげること。→態度の推奨

 第二条は、仏教の教えによると、すべての人には善心があって、この教えを信じて精進すれば、よい人となりうる。→個人の心の問題

 第三条は、天皇というリーダーの言うことに従え。そうでなければ、秩序がたもてぬ。→現実的、法的強制

 第四条は、上の者も下の者も態度の基本を礼とせよ。→態度の推奨

第五条は、役人は、欲望を捨てて仕事にはげめ。百姓の訴えは一日に何千件とあるから、それに対処するに忙しいはずだ。賄賂を受け取と正しい裁きが出来ない。→現実的、法的強制

第六条は、勧善懲悪はもっともだ。人にへつらったり、隠れて人の失敗をそしったりするのは、国の乱れのもと。→態度の推奨

第七条は、職場では自分の与えられた任務にはげむこと。上に着く者がよい人か悪漢かで断然違ってくる。昔の聖人は上の地位にはそれなりの人を選んだという。→現実的、法的強制

第八条は、朝早く出勤して、遅くまで仕事をしなさい。緊急の処理が必要なことがある。→現実的、法的強制

第九条は、何はともあれ、他人を信じることが大事だ。疑ってばかりいると災いがやってくる。→心の問題

第十条は、怒るな。もし人の言動を見て怒れてきたら、ひょっとして自分の方に非があるのではないか、と疑ってみよ。→心の問題

第十一条は、功ある者に賞を与え、罪あるものを罰せよ。→現実的、法的強制

第十二条は、地方役人らは、百姓から搾取してはいけない。百姓の主は王(天皇)ただ一人であるぞ。→現実的、法的強制

第十三条は、役人たちは、その部署の仕事を全般的に知っていなければならない。たまたま病欠などの後、出勤してもすぐ仕事を続けられるよう、同僚は常に連携していなければならない。→現実的、法的強制

第十四条は、人を羨むな。とくに仕事人は自分より才能があると思われる人がいると羨んでしまう。じつは、そんなに才能がある人はめったにいないもんだ。ましてや聖人など千年に一人でるかどうか。だから、ばかばかしい嫉妬などしている暇があれば、一生懸命仕事をしてりゃいいの。→心の問題

 第十五条は、臣下は私心を捨てて、公の為に尽くそうとすべきである。私心があるとどうしても他人を恨むことになる。そうなると、ついに公の制度を壊すことになる。これは、初めに言った和の精神ですよ。→態度の推奨

 第十六条は、百姓を使うときは、農作業や蚕作業のない、比較的暇な冬にしなさい。→現実的、法的強制

 第十七条は、小さな事柄はよいけれど、大きな事柄に関しては、独断でものを決めるな、必ずみんなで議論して決めること。→現実的、法的強制

 まあ、こんな風に言ってしまうとあぢ気なくなるけれど、言いたいことは、太子の作った憲法は、宗教的なというか各自の心を問題にしている部分と、日常こういう態度でおれば上手くゆくという、いまどきよく売れるハウツウ本『○○力』みたいな部分と、人の悪しき行いを阻止するために現実的なあるいは法的拘束をもうけるべきだというところと、混在していることだ。

 太子が、このような憲法を発布しなければならなかったほど、裏を返せば、当時の日本はもちろん法律はないし、役人らも、賄賂、中間搾取、サボタージュなどが蔓延し、太子はどうしてもここを改め、中央集権の秩序ある先進国にしたかった、と同時に、どうしてもそういう制度だけでは、結局上手くゆかぬ、一人ひとりの心の問題、いわばこの世を超えた世界からの視点(価値)、つまり仏教をどうしても取り入れなくてはならないと考えた。これほどの全般的改革、無謀とさえいえる、前代未聞の企てに彼は彼の全能力をつぎ込んだ。そして、このあまりにも一本気な姿勢は、初めから伝説的な太子の生涯の最後に付け加わった伝説―奇怪な死、を想わずにはいられない。
  

 にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村

  
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 歴史 - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

No title

umama01さん、そう、もうあのころ〈日本〉の原型が出来上がっていますね。そして千年以上経って、いくら科学技術が発達しても、人間はもちろん民族もそう変わらんものですねぇ。

No title

この十七条の面白いところは、今でも十分に通じるところですよね。
仲良くしろ・善心に従え・天皇陛下に忠実に・礼儀を忘れず・公人は公を最優先……云々。
耳の痛いことばかりで御座います。。。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

うたのすけ

Author:うたのすけ
世の中の人は何とも岩清水
澄み濁るをば神ぞ知るらん

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。