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手術を受ける

手術なんて眠っているだけのことだと思っていたから、ほとんど緊張というものはなかった。麻酔をかけられる瞬間は意識できるのであろうか、それは関心があった。背中の麻酔のチューブと腕の点滴のチューブとつけられて、上向きになる。巨大なイソギンチャクのような沢山のライトが眼前に迫る。酸素マスクが顔に当てられ、看護師が「眠くなりますよ」と言ったと思ったら、ストンと落ちた。これは、後で思い出して言うのだけど、快感だった。こんな風に死ねたらいいと思う。

 次の瞬間は、「○○さーん、わかりますかー」という声が聞こえてきたので、肯いた。しかし、声ははっきり出なかったような気がする。それから、人々の話声が聞こえてきて、「じゃ行きまーす」とともに、自分が手術室からどこかに動かされているのが分かった。けっこうガタガタと振動が伝わってきたからだ。とくにストレッチャーが左右に曲がるときはよく分かった。なぜなら、ものすごくお腹が痛かったからだ。これが術後の痛みか。痛みで体が震えてくる。「痛い、痛い」と出ない声を一生懸命出した。さいわいそれは看護師に伝わったようで、「痛いねー」と答えてくれた。それから背中のチューブから鎮痛剤を追加してくれたのか、〈ものすごい痛み〉は去っていった。

 いまから思うと不思議なことは、そのとき手術が思いのほか早く終わったような気がしたからだ。いま何時?と訊こうとしたが、声が出ずに、またうつらうつらしていたので、訊けなかったが、たぶん部屋についてからか、医師と妻とが何となく小声で話しているその話しぶりから、悪い予感がした。

 しばらくすると、主治医(執刀医)が、「じつは腫瘍は腹膜に及んでいましたので、最初にお話したように、胃は切除しなかったのです。しかし、幸い!この病院でなら、先進の治療法ができますから……今はぼんやりして考えられないでしょうから、また後ほど詳しくお話いたしましょう。」というようなことを言った。

 ああ、そうだったのか。それにしても、幸い先進の医療とは?…と思ったが、それより創部の痛みというか動かせないというか、その感覚とまだぼんやりした意識とで、うつらうつらしていたようだ。

 詳しくは書かないけれど、この場合の先進医療とは、一般的な化学療法の上に、さらに別の化学療法を特殊な投与方法でやることだ。これは、いまのところ、まだ治験中(ゆえに保険適応外)で症例数も少ないけれど、小生のような転移例にはとても有効らしいから是非にという。患者に少しでも希望を与えようとの気持ちも医師として当然あるであろうし、また研究者としての医師としては、当然この様な症例を手ぐすね引いて待っているのであろう。学会で発表するには、ある程度の症例数を必要とするのはよくわかる。

そして、ついでに思うことは、悪いように想像をめぐらせていくと、研究熱心な科学者はデータをついつい治験の有効性を高めようと改竄とまではいかないまでも、選択の幅を広げるとか…熱心であればある程、小保方氏が陥ったであろうような誘惑に駆られやすいのではなかろうか。

 ところで、一般的な化学療法だけでも少なくとも2種類の抗がん剤を併用する。これを、死ぬまで繰り返す。手足のしびれ、口内炎、また貧血など骨髄抑制は、ほぼ必発だろうし、肝臓などの障害も大いにありえる。その上、小生には(今回見つかったことだが)肺の感染症もある。もし化学療法を行ったら、これが悪化する可能性もある。それで、これに対しては、さらに抗生剤を併用する必要がありそうだ。想像するだに気持ち悪くなりそう。

 
 まあそんなわけで、化学療法をするにせよ、しないにせよ、そう長く生きれるわけではない。とにかく身辺整理に忙しくなる。立つ鳥跡を濁さず。それにしても、悔しいことは、切られ損、いまだに創部痛があって、充分動けないことだ。忙しいし、痛いし。


  

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