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夢の浮橋

藤原定家の名作のひとつ

  春の夜の夢のうきはしとだえして
     峯にわかるるよこ雲の空


 新古今和歌集に散りばめられた美しい宝石の一つであり、古来ああだこうだといろいろな解釈をもっていじくりまわされている。誰でも好きな物について、いかなる評価や説明も虚しいものだとは知りつつ、それでもなお語りたくなるものだ。素人の小生でもそうだ。

 だれでも春の夜と聞けば、心地の好い空気を感じる。そこでの夢は甘いあこがれ、ゆかしい、心が惹かれるような夢、そしてそれがとだえるとは、その余韻がだんだん薄れていく、さらに追っていきたいような気持が微かにのこっていて、しかしそれを敢えて意識的に追っていこうとすると逆に遠のいてしまう、その微妙な気持ちを保ちつつ目をあけると、空にはたなびく雲がゆっくり動いている。山の端からまさにいま離れようとしている。

 むしろ、春の夜という薄明の意識、すこし目覚めてふと目に映った雲の動きが、かの甘くゆかしい夢を誘い出したのではないか。いずれにしろ、浮き橋はあの世とこの世とつなぐもの、そしてまた峯と空をつなぐものであり、雲は絶えず動いていくもの、つまり時間の象徴ではあるまいか。

 春の夜とは春の世、すなわちこの世であり、夢の浮橋は物語の終わりを、薫と浮舟の運命を、俗世と来世を、暗示する。そして、この世であれあの世であれ、すべての出来事は、空に描かれた劇にすぎない。空(そら)とは空(くう)である。

 この歌は連作であって、その直前の歌をあげておこう、これもなかなか好きだ。

    大空は梅のにほひにかすみつつ
        くもりもはてぬ春の夜の月



          

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コメント

No title

おお淡青さん!

この歌は ほんと夢から覚めつつあるような、茫洋としてあまりに心地よい春の始まりですね。

貴女の見果てぬ夢は、" On a clear day , in the blue sky, you can see forever."

小生のは" In the forenoon, on the glittering ocean, you can see forever"

春の和歌

この夢の浮橋の和歌が春を奏でる詩歌では最高ではないかとさえ思えます。

ああ春よ 未だみぬ春よ 永久に 淡青

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