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『遥』石垣さだ子歌集選その三

 
大東亜戦争も次第に激しさを増しているもよう。南方の戦地にある夫はいかに・・国に残る妻の思いが続きます。
 
諦めと云ふは安けどなまなかに諦めかねる心悲しも

いつたび五度も戦果上りぬプーゲンビル敵反攻の苛烈さ思ほゆ

高鳴れる我若き命大いなる試練と戦はむ力の限り

戦のいよよはげしき折し征く学徒にかかる願ひの大き

はかなかきは夢てふものと知ながらなほ夢見むと願ふは悲し

家路急ぐ車内に又も警報のひびき渡れば落ち着きかねつ

戦のきびしさひしと迫り来ぬ文読みをへ衣縫をれど

芍薬の赤き小さき芽にも見ゆ春の恵は溢れるごとく

白桜のとどきし朝春の香のただよひてひとひ一日心ゆたけし

鶯の春の調べを唄ふ声寝睡めの床にきける嬉しさ

〈昭和十九年 妹たづ子結婚す 三首〉

嫁ぎ行く妹を送りて佇めば紅のバラほころぶ見える

語らひつ衣を縫ひし日を思ふいま幾山河へだたる妹と

嫁ぎたる妹の文読みつつをれば春の息吹にふるる思ひす

靴音に耳をすませり昨日今日夫帰るてふ知らせありければ

何時の日も待てど帰らぬ夫なるに今日も一日を待ちて昏れけり

夕焼の山を包めば角帽の君の帰れる心地こそすれ

幾度も寝返りすれど寝ね難し空襲警報解除となれど

子を思ふ親猫の声淋しげに夜のちまたにひびき来りぬ


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