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NYに行く 1

生まれて初めてニューヨークに行った。若いときに非常に感銘を受けた絵を、いつかは一度、本物を見てみたいと漠然と思っていたのだが、このところ絵のことを考えていたら、ふと見に行こうと思い立った。全行程、たった一週間、一日中自由にできるのは、なか4日である。もちろん、本命の一つさえ見ることができれば、それでいいのだけれど、せっかく地球の反対側まで行くのだから、ついでにあの市にあるお宝を存分に見てやろうと思うのは自然の情だ。

 近代美術館にある目的の絵については後で言うとして、とりあえずニューヨークについて感じたことをちょっと触れたいと思う。まず、4日間の行動の概観。

1日目 まず本命の近代美術館(MoMA)へ。開館から閉館まで一日を過ごす。夜、川向うからとエンパイアステートビルの上からマンハッタンの夜景を見る。

2日目 開館から閉館まで、メトロポリタン美術館(MET)で過ごす。帰りセントラル・パークを通る。

3日目 午前グッゲンハイム美術館。午後、再度METで閉館まで。その後、夕食のため、市内をぶらつき、偶然大聖堂とグランドセントラル・ステーションを見る。

4日目 開館から午後3時まで、再再度METへ、3時~閉館までフリッツコレクション美術館へ。

 ということで、ほぼ予定通り、効率よく美術館巡りをできたのだけれど、想定外のことは、METにあれほどのお宝があるとは思っていなかったので、連続三日間、足の痛いのも忘れて通うはめになった。それでも、とても見足りなかった。

 話のついでにMETのことから話すことにしよう。もちろんこの世界的に有名な美術館はとても広いということは想像していた。だから、開館30分前にしてすでに入口の左右に長蛇の列ができているのを見ても、そう心配はしなかった。きっとこれらの人が、中に入ったら、散らばってしまうであろうし、たいていはいわゆる〈ニューヨーク観光客〉で、ここにせいぜい2時間くらい居て、出ていくだろうと思っていたから。

  MET入口1


しかし、METは小生の想像以上に広く、日頃から方向感覚には自信があるのだけれど、少なくとも初日目は、いったい自分が館内のどこをどう歩いているのか分からなかった。ホテルに帰って、館内地図を広げて、自分の足跡を思い出し、照らし合わせて検討したが、完全には解明できなかった。

 一階と二階とに、エジプト、ギリシャローマ、オセアニア、西洋中世、近代、現代、アメリカ、アジアなど計20ほどのセクションに分かれていて、それぞれが、モーレツに広く、1つ~3つの出入口をもった多数の部屋に分かれていて、迷路の秘宝館と言えばぴったりである。初日チケットを買って、そのままなんとなく入っていたのがエジプト部門で、入るや否やもう全身鳥肌。何万年前の石器から末期王朝の前まで、けっこう飛び飛びに3分の2くらい見たところで、すでに昼の1時を回っていた。焦った。ゆっくり見てはおれない。大急ぎで館内のカフェで昼食をとり、ただちに近代西洋絵画部門へ。しかし、そこまで行く途中、アジアの壺などの名品が並ぶ通路を通るさ必然的に足が止まり、また、中世美術部門の一角をさらっと通り抜けることはできなかった。中世美術がこんなに素晴らしいとは。しかし、刻々と時間が過ぎる。冷や汗が出る。とても一日では無理だ。近代絵画の部屋に到着したのは、もう4時ごろだったか・・・というようなことで、とうとう三日連続でMET詣でをする羽目になった。

それでも、結局は幾つかの部門は断念せざるを得なかった。一個一個に時間をかけてしっかり見たい、しかしそうすればするほど多くは見れない。館内はかなり冷房が効いているが、時間との戦いで熱い汗がでる。だんだん眼が痛くなって、終わりごろには目がかすんでくる。足の裏が痺れてくる。だがもうここへ来ることはあるまい、そう自分に言い聞かせて、全力を尽くす。

ギリシャのものはずいぶん沢山あったな。英仏はおもに武力で、遅れてきたアメリカ帝国は財力で、世界のお宝を手に入れたのだな。一財産を築いた長者が美術品を蒐集し、死後美術館に寄付するというのはいいことだ。おかげでわれわれはこれらを見ることができる。ギリシャの壺はなんでこんなに集めたのだろうと思うほどある。そういえば、愛知万博があったとき、ギリシャ館で見た壺が気に入った。よくできたレプリカで、きっと最後の日に展示品の一部は売ってしまうのではなかろうかと期待し、最終日に行って、これを売ってくれと言った。しばらく係員は上の者と相談した。10万円で売りましょうと答えた。馬鹿言え、模造品にそんな高値をつけるんじゃない!(もちろん本物なら1ケタ違うだろうが) 2~3万なら買うつもりだったような気がする。が、今思うに、とにかく買わなくてよかった。ギリシャ人め、楽して儲けようとするから、今のような危機に陥るのよ。

ただ一か所、非常にイヤなところがあった。最後の日に入ったアジア部門だ。ここは、入口からしてアジアは中国なりというような雰囲気になっていて、いわばこの中国館に入ってからしか、朝鮮やとくに日本のものを見れないようになっている。この造りからして、朝鮮・日本は中国の属国か一地方という印象を与える。しかも、ここ中国館は、今だけかもしれないけれど、他の部門とは違って、がんがん音楽を流して、スポットライトに照らされた現代アートを所々に配して、古代の貴重な器物は、えらく暗くて、たとえばあの周~漢の青銅器などはよく見えない。小生はこの趣味の悪さに吐き気を催したので、中の方にはとても入っていく気がしなかった。

たしかに、古代アジアにおいては中国が圧倒的な文明を誇っていたし、日本をはじめその周辺の国々は中国をお手本として文明を築いてきたことはたしかである。だからといってあたかも周辺の国々が中国の属国のごとき印象を与え、あまつさえ今の中国の発展を誇示するような、派手なパフォーマンスが許されるのだろうか。しかもここは美術館であるはずだ。日本は独自の文化を築いている独立国であることは聖徳太子以来の国是であることを知ってほしい。

少し前、中国主導のAIIBにヨーロッパ各国は参加の意を表明した。あのときのイギリスの身の変わりの早さには驚いたが、政治経済とはそんなもので、西欧諸国の強欲は今に始まったものではない。METもついに中国の財力に参ったか、と思わずにはおれない。

さらに、情けなく感じたのが日本ブースだ。中国ブースがガンガン変な音楽を流しているからだろうか、日本ブースに入る入口にはガラスの扉がある。MET広しといえど、扉があるのは、ここだけだと記憶する。おかげで、疲れた鑑賞者は扉を押してまで、入っていく気がしない。ガラスの向こうの地味でさえない所に入って行く気が起こらない。とくに外国人はそういう気持ちになるであろう。じっさい、入ってみると中は閑古鳥が鳴いている。ここがたぶんMET中で一番閑散としている。派手さで集客している中国側から見ると、もう文化果てる極東の小島という印象を与える。

しかも、何か知らんが、お宝も冴えなし、配置がいかにも悪い。れっきとした歴史をもつ日本文化が分からない。例えば、入って即、鎌倉期の仏像が一体立っていて、扉のすぐ横には二十個くらいの根付が並んでいる。どういうつもりだろう。根付は立派な日本文化である。江戸、明治~現在に至るまでを、もっと沢山、詳しい説明を付して、並べるべきである。しかも平安時代以前のものはなかったような気がする。絵巻もあまりなかった。鎌倉~江戸期のものが、ブースの初めから終わりまで混然、雑然と置いてあるのみだ。見ていると泣けてくる。

小生が考えるに、まず入り口に、スポットライトで照らされた縄文の火焔土器を、赤毛氈の上にでもでんと置く。それから、縄文から始まって、各時代の代表的なお宝を並べる。とくに焼き物の変遷、多様性は、わが国は世界随一だ。いま日本でやっている大英博物館展の百点の中に、朝鮮物の茶碗で日本で金継ぎしたものがあったが、あれはものすごく素晴らしい、割れた茶碗をあのように、模様を付した金で継いで、さらに一段と素晴らしい美術品!と見なした日本茶人の感性に脱帽だよ。あんなのも並べたい。江戸時代は、斬新な柄の着物をいっぱい並べる。ギリシャのブースでは、壺がこれでもか、これでもかと、腐るほど並んでいるのに! 大量の根付を北斎漫画の近くに並べる。それによって日本人の創造的・楽天的なユーモアのセンスを見せつける・・・
まあここでぐだぐだ泣き言を言ってもしようがない、METは日本の美術品をあまり重要視していないのかもしれない。とりあえずEmailで意見しておこう。


 

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