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ヴェルディ『オテロ』

 ヴェルディのオペラ作品の中でもっとも好きなのは何でしょう、とマニアたちに尋ねてみたら・・・。やっぱり『ナブッコ』ではないかしら、わが想いは黄金の翼に乗って、イタリア万歳に涙よ、あるいは『椿姫』に捧げし歌よ、いや『トロヴァトーレ』の例のウン・ジャカ・ジャッジャに昇天だわ。いや、『リゴレット』だよ、いや『運命の力』ですわ。忘れちゃいませんか『アイーダ』に決まりですよ・・・なんて、結局なんでもいいの、人それぞれなのでは、ありませんの。

 では、小生は、変わった視点から一つだけ『オテロ』を取ることにするか。いや、断然『オテロ』だ。先日たまたまこのオペラ映画を見たからね。でそのとき、誰が何について言った文句か忘れたけど、「耳におけるシェイクスピアの恐怖」って文句を思い出したよ。

 人間という生き物の恐ろしさと弱さと救い。いやこのオペラ作品は、ヴェルディの『トリスタン』だな、聴きながら、ふとそう思ったとたん、その考えから離れることは出来なくなった。

 小生の勝手な空想だが、晩年のヴェルディは、どうしても、やはり彼の『トリスタンとイゾルデ』を創りたかったのではないかな。音楽そのものが物語(愛の死)を導くがごとき楽劇風だし…。

 しかし、両者は根本的に違ってくる。ヴェルディの愛の二重唱には、〈死への予感〉はあるが、ワグナーのような〈死への誘い〉はない。トリスタンの悲劇は、変な言い方だけど、それほど悲劇的ではなく、むしろ非常に甘美なものである。死にたくなるほど甘美である。ヴェルディの『オテロ』は非常に悲劇的で、フィナーレで死を悟ったデスデモナは柳の歌を歌う。彼女の運命はオフィーリアのそれと重なって見える。

思うに、人生とは不条理そのものであり、そのことをそのまま、ヴェルディは歌う。その根源を、いわば悲劇の中の神話性を、垣間見させてくれるのであり、そう言い方をすれば、ワグナーはむしろ、神話や民話に内在する悲劇性を派手に大写しする。

 南方と北方の違い? さあ、どうかしら。



     


     
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テーマ : art・芸術・美術 - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Re: どちらも長生き?70歳と88歳


ハイ、未見太郎さん、本格的に冬になって、ますますお元気そうですね。

あらためて思うに、ヴェルディは、現代の人間、すなわちいつの時代の人間もということですが、本来的に悲劇的でありうる恐ろしい救いのない生き物として、人間をとらえていますね。Shakespearean tradgedy.
一方ワグナーは、人間は古ケルト以来のながーーい神話を心の中にはぐくみ持続させながら、どんどん世界のあらゆる地域に憧れをもって進んでゆくような生き物と捉えているように感じます。・・・海は茫漠としてよく見えないにしても・・・。

どちらも長生き?70歳と88歳

うたのすけさん、今晩は。

>北と南の違い・・・。とは面白い比較ですね、

地理的な違いからくる特徴は、大いにありますね。ザクセン王国と、パルマ王国、文化も気候も、宗教観も。
いっぽう、時期的には、ワーグナーも、ヴェルディも同じ1813年生まれです。
ワーグナーは半音階を多用した病的でせつない、しかし甘美な死への(いざない)を感じさせる作品も多いですね。まだ、うたのすけさんは彼のトリスタンにとりつかれてますね。
私は、先日タンホイザーの(夕星の歌)をメットシネマできいて陶酔しました。キラキラしてる・・・。フランスのマスネがそういう作風の影響を受けて歌曲(Elegie,悲歌)を作ったと聞いたことがあります。あれは、歌詞も美しいですが、歌うのはむずかしいです。

調べましたら、ヴェルディがそのオテロを完成したのは、74歳の時、すでにそれ以前、レクイエムを60歳で発表したずっとあとで、終末思想をかなり意識した頃なので、二人の人生の作曲時期の違いもあるかもしれませんね。死への誘いと予感という心境の隔たりが。

似たところもありますね、私など、ワーグナーのタンホイザーの巡礼の合唱や、Grand march 喜びの歌などを口ずさんでいると、いつのまにかヴェルディ、アイーダの凱旋行進曲になってしまって、あれれーッということも・・・。

椿姫、乾杯の歌でもきいて頑張りましょう。ブンチャッチャ、ブンチャッチャ!(歌い楽しく飲んですごそう、そのひとときは再びこない)・・・・飲めませんけど。

寒さにめげずお大事に。


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