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『遥』石垣さだ子歌集選その四

昭和19年前後、南方の戦地にいる夫を思う気持ち。
そして病的なまで激しやすい母との確執の日々。

子の親をしたふは常と思へども母の日頃に親しみかねつ

我が生活わびしけれども桔梗咲く夏にふたたび事なく逢へり

わびし時浮びて来るはあかつきに夢に見し夫の安けき笑まひ

虫の音の静けき庭に鳴く夜は我すすり泣き聞く思ひする

夫征けり妹も嫁ぎて我れ一人こぞ去日の想ひに秋を暮さむ

戦のはげしき日日を生産にたづさはりたき思ひつのりぬ

一日一日はげしさ加ふ生活なれど美しく生きむ我れ若き日を

夫よりの便り久しくとだえればせめて夢にも逢はむと願ふ


 〈永井氏戦死す〉・・永井氏はさだ子の夫の妹の夫

モルッカの海を血潮に染めながら君は逝きしと聞けば悲しき


たよはなる女なりせど亡き夫の願に生きませとひたに祈るも


一筋に遺児を育み生くと云ふ女の旅路のけはしさを思ふ


一機一機火の玉となり仇艦を打ち沈めたる若き男子等


春の夜に火鉢をかこみ語らへば世は事もなき心地こそすれ


汚れたるもの皆うせて一色の銀の朝に便待たるる


未だ馴れぬ勤なりけりと笑ひつつ語れる友も留守居妻なり


我一人の試練にあらずいくばくの友も同じと思ふ夕暮れ


鶯の今一声を聞かましと思ひし朝警報鳴れり


       
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